ヨコハマ国際映像祭2009(CREAM)

ヨコハマ国際映像祭2009に行ってきました。ホームページはこちら。http://www.ifamy.jp

ロケーションが良いので、近くのコンビニで買ったワインを飲みながら、お祭り気分で行ってきました。いくつかの作品が印象に残り楽しめました。本当は作品よりも、もっと飛んだ感じの「これはヤバイい!」っていうようなオープンな空間を期待していたのですが、あまりそういう雰囲気は感じられず。そこが残念でしたけど、充分楽しめました。



●新港ピアの入り口



●アルフレッドジャー「静寂の音」

ジャーは、これまで一貫して世界中に氾濫するマス・メディアの映像に眼差しを向けてきた。彼は、一枚の画像が持つ限られた情報の向こう側にある現実の出来事を提示し、映像が社会のなかでどのような役割を果たしているかを伝える。《静寂の音》は、ジャーの代表作とも言われ、ピュリツァー賞を獲得したある有名な写真をめぐるジャーナリズムの倫理性と、それをめぐる資本の問題を鋭く見る者に突きつける。


「私はアート界に潜入したジャーナリストみたいなものです。人々が見ようとしない情報を提示しようとしている。ジャーナリストとアーティストの仕事に大差はありません。作品を提示する文脈が違うだけ。どちらにも美的要素と倫理的要素があり、両者の割合は異なるかもしれませんが、どちらかの要素を完全に排除することはできないのです」ART ITインタビューより。

8分間、暗闇の静寂の中で短い文章が現れては消えるだけで、最後にあることが起きるのですが、この展示が一番好きです。耳元ではなく、心の奥で囁かれているようでした。新聞やTV、インターネットといったメディアよりも身体的であり、どうしても自分が関わらざるえないとこまで持っていきます。



●イム・ミヌク「SOS」

《SOS》(パフォーマンス記録)は、ソウルの中心を流れる漢江の開発への反対運動とシュプレヒコールが川岸で行われ、客船の船長がそこで独白を行うパフォーマンスの記録映像。自然と人々、そして権力についての関係性が浮かび上がる。

三角形に配置されたスクリーンとスピーカー。その中や外で鑑賞するんですが、これも面白かったです。どれだけいても飽きない。長回しシュプレヒコールが行なわれるシーンは2009年に見たどの映画のシーンよりも強烈で好きでした。



NPO法人remo+イルとイラ
「『アクティヴィズム3.0(仮称)』〜リーマン・ショック以後の世界の「新しい反資本主義の表現者」たち〜」

NPO法人remoとイルとイラの空間。自分の部屋にいるかのような落ち着ける空間でした。イラさん(成田さん)からは、今年イベントでのVJパフォーマンスを誘われて、出演出来て楽しかった思い出があるのですが、映像祭中は、ここで映画作りのワークショップやルールのないドラム・セッション、無買日でのアクションなどが行なわれたそうです。楽しそうな様子が伝わってくるブログはこちら。http://activism3cream.wordpress.com

壁に描かれたMike Millsの言葉は「人間なんだから人間らしく生きようよ」というメッセージ。Mike Millsは昔、この言葉をガールフレンドに言われ、郊外の家にグラフィティしています。「自分たちの弱さから目をそらさずにいようよ」という意味だそうです。Mike Millsが好きなので、一時期、雑誌などのインタビューを集めてました。


みなとみらいの夜。
「人々が見ようとしない情報を提示しようとしている」と話す、アルフレッドジャーさんの作品を体験できてよかったです。会期中は一度しか行けなかったのですが、だんだん盛り上がっていったようです。魅力的なシンポジウムなども開かれていて、逃した!って感じもあるのですが、映像が身の回りであふれて来ている今、こういう映像祭が次々と開かれていけば、映像祭自体がもっとよくなっていくんじゃないかなと思います。